第23回人間らしく働くための九州セミナー in 長崎
人間らしく働くための九州セミナーin長崎
職場のいじめ・パワハラをなくし、働きやすい職場をめざして!
「人間らしく働くための九州セミナーin長崎」は11月10・11日の両日、長崎大学中部講堂で開催された。500名を超える参加者が九州・沖縄はもとより東京や関西からも参加があった。
「長崎における働く人々の命と健康を守る歩み」と題して行われたオープニング企画では、じん肺訴訟の闘いの成果や教訓、長崎労健懇の取組みが紹介され、長崎の歴史を学ぶことが出来た。
記念公演 パワハラの実態を学ぶ
記念講演では、首都圏青年ユニオン顧問弁護士の笹山尚人弁護士が「それ、パワハラです~働きやすく元気の出る職場を目指して」と題して講演を行った。
講演の中で、銀行の支店長が部下の営業係長Aさんに対し、言葉による執拗なパワハラを繰り返した末に退職に追い込んだ事例が紹介された。この事例は裁判となり、係長は子会社に復帰し、パワハラ問題を今後は労使で切実に協議すること、などを確認し和解した。Aさんの場合は証拠が乏しかったが、組合が非常に協力的で本人の陳述書を基にパワハラの実態を劇でリアルに再現するDVDを作成し、裁判と並行して社内で団体交渉を行うなど、職場の連帯感で和解まで持ち込めることが出来、組合の存在が大きかった。
また、37日間連続勤務などで身体を壊し休職したコンビニ店長のBさんに対し、店側は「店長は管理監督者だから」との理由で残業代の支払いを拒否した事案が紹介され、Bさんはうつ状態になり、未だに職場復帰出来ていない。Bさんのように孤立したまま立ち直れない被害者の方が圧倒的に多いということであった。「パワハラは単に仕事を失うだけではなく、生活を失い、人間らしさを失う大きな破壊力がある」と強調された。
パワハラ予防の仕組み=元気のでる職場
笹山弁護士は、働きやすく元気のでる職場づくりとして「人を人として尊重し、健康で文化的な最低限度の生活を守ることが重要」と前置きをし、①何がハラスメントに該当するのか基本的な考えを定めること、②相談・苦情への窓口をつくること、③発生した場合の迅速な対応などを挙げ、さらに、「会社の労働安全衛生委員会の活用や管理職への研修会の充実などにも力を入れて欲しい」と要望された。
最後に、労働組合に対し、「労働組合はハラスメントの被害者を見たり、実態を感じたりすることに常に敏感になって動いて欲しい。被害者を決して孤独にさせず、コミュニケーションを大事にして欲しい」と切望された。
この後、「職場のいじめ・パワハラの実態と予防」のテーマでパネルディスカッションが行われた。