アスベスト問題はこれからだ!!

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アスベスト問題はこれからだ!!わが国では輸入されたアスベストの7~9割が建材に使用されており現在でも労災認定の約半数が建設関連労働者となっています。

九州社会医学研究所では健康管理医をしている中央建設国保組合福岡建設支部(福岡県建設労働組合)と共同で2009年10月よりアスベスト関連疾患の「労災掘り起こし」活動を行っています。

掘り起こしから認定まで

まず中皮腫や肺がん、間質性肺炎、石綿肺などアスベスト関連疾患を疑う組合員を各医療機関から健康保険組合に申請される医療費のレセプトを基に抽出します。次に中建国保の出張所で本人の職歴の聞き取り調査と、必要な組合員さんから主治医への問い合わせに関する同意書を取っていただきます。その上で健康管理医である田村所長、舟越副所長から主治医に対して病状照会状を出し胸部レントゲンやCTなど検討に必要な写真の貸し出しを行なってもらいます。病歴の確認及びレントゲン・CTの検討などを行い、労災申請が可能な組合員さんの労災申請を行ってきました。既に8名が労災認定を受けています。

 

【事例 塗装工に発症した肺がん 60歳台 男性】

長期間、塗装作業に従事しアスベスト暴露を受けています。

胸部レントゲンでは、左中肺野の胸壁に10mm程度、右中肺野胸壁に4mm程度の胸膜肥厚斑(胸膜プラーク)の陰影を認めました。また、胸部CTでも右中肺前壁、中下肺野側壁~後壁に胸膜プラークを認め、左中~下肺野側壁~後壁にかけて広範囲に胸膜プラークが認められました。【図1】
厚生労働省の認定基準では、石綿曝露作業者に発生した原発性肺がんは①胸膜プラーク②または石綿肺所見を有する者に関しては労災認定を受けることが出来ることになっておりこの事例の組合員さんは典型的な胸膜プラーク像を呈していました。

認定基準の胸膜プラーク

ところが主治医は「肺がんの原因はタバコ以外に考えられない」とアスベストによる肺がんを疑っておられませんでした。検討結果を詳細に報告し主治医と連絡を取るなかで主治医も労災申請に協力的となり認定を勝ち取っています。救済活動とともに臨床医の連携を進め、教育する場ともなっています。今年10月には福岡建設労働組合の組合員を中心とした九州建設アスベスト訴訟の提訴も予定されています。建設労働者のアスベスト被害者の救済活動を活発に行なっていきます。

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