泉南アスベスト最高裁勝利首都圏(全国)スタート集会

全国センターの取組み

働くもののいのちと健康を守る全国センターなど8団体で共催する「大阪泉南アスベスト国賠訴訟 最高裁での勝利をめざす首都圏(全国)スタート集会」が12月3日、TKP渋谷カンファレンスセンターで開催され、110人が参加しました(写真下)。

共催団体を代表して「いの健」全国センター・田村昭彦副理事長は、最高裁にむけてのたたかいは、「健康で働き生きる、健康権を守るたたかいであり、正義のたたかいである。全国と首都圏の力を結集して原告勝訴をたたかいとっていく意思統一の場としたい」とあいさつ。

人のいのちや健康に寄り添った判決を根底からくつがえすもの

「筑豊じん肺訴訟最高裁判決の目線で泉南国賠訴訟大阪判決を斬る」と題して講演した全国じん肺弁護団連絡会議幹事長の山下登司夫弁護士は、泉南高裁判決がいかに不当なものであるかを解明しました。

山下弁護士は、大阪高裁判決の思想が象徴的にあらわれているものとして、労働者のいのちや健康に「弊害が懸念されるからといって、工業製品の製造、加工等を直ちに禁止したり、あるいは、厳格な許可制の下でなければ操業を認めないというのでは、工業技術の発達及び産業社会の発展を著しく阻害するだけでなく、労働者の職場自体を奪うことにもなりかねない」と述べているところにあると判決内容を解説。職場が守られたとしてもいのちや健康が守らなければどうなるのか、いのちや健康と石綿製品の社会的必要性、公用的有用性を天びんにかけて石綿曝露による人への障害が、生じてもむやみに規制すべきでない、これが大阪高裁の考え方だと指摘しました。山下弁護士は、筑豊じん肺訴訟最高裁判決や水俣裁判にふれながら「人のいのちや健康に寄り添った判決」、現在の司法が確定したこの考え方を根底からくつがえすものだと述べ、この判決を聞いて大きな怒りとともになんとしてもくつがえさないといけないとの決意を表明しました。

公害企業は厳格な調査研究義務、結果回避義務を負う

「歴史の流れに逆行する泉南アスベスト高裁判決を斬る」と題して、全国公害弁護団連絡会議代表委員の篠原義仁弁護士は、公害企業は厳格な調査研究義務(予見義務)及び結果回避義務を負っているとして、「大気の浄化能力にも限界がある以上、大気汚染による健康被害発生の危険が生じたならば、大量の大気汚染物質を大気中に排出する事業の事業者は、被害を生じない程度にまで排出量を減少させ健康被害の発生を防止する適切な措置をとる義務がある」とした西淀川判決を紹介。

篠原弁護士は、四大公害裁判の判決・公害健康被害補償法の成立経緯から見ても、高裁判決がいかに歴史に逆行しているかを解明し、従前のたたかいの経験に学び、係争中の国賠訴訟と共闘することの重要性を訴えました。

400頁に及ぶ理由書、1008人の代理人

泉南アスベスト国賠弁護団からは、主任の村松昭夫弁護士が、大阪高裁が関連証拠をまったく無視、事実を意図的に歪曲するといった恣意的な事実認定をおこなったことなど不当性を明らかにしたうえで、最高裁に400頁に及ぶ理由書を提出し、1008人に及ぶ代理人(弁護士)を立てることができたことなどを報告。今後のたたかいについて、第2陣が地裁で勝利すること(判決は2012年3月28日)が、最高裁の逆転勝訴への大きな一歩となる、そのためにも、不当判決を跳ね返す広範な世論の結集を呼びかけました。

原告団代表4人が上京(写真上)。原告の訴え、メッセージ紹介のあと、支援団体のリレートークで13人の方からの発言がありました。

泉南アスベスト訴訟を勝たせる会から、第2陣の地裁あて署名の取り組み、機関紙・ブログ等での紹介、マスコミへの投稿など世論を広げること、最高裁宣伝行動、「泉南応援団」への協力などが呼びかけられました。

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