「コークス工場での労働で肺ガンに」北九州の遺族が新日鉄を提訴

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新日鉄のコークス工場での労働で肺がんになったために、損害賠償を請求する裁判の記者会見が5月9日に行われ、5月10日付の新聞各紙で、その内容が一斉に報道されました。

新聞報道

「新日本製鉄のコークス工場で働いていた元作業員の男性(当時72歳)が肺ガンで死亡したのは、同社が対策を怠ったためだとして、北九州市に住む男性の遺族らが10日、同社に約8500万円の損害賠償を求める訴えを福岡地裁小倉支部に起こす。

男性は57~78年、同市八幡東区にあった洞岡(くきおか)コークス工場で勤務。97年に定年退職後、08年に肺ガンが見つかり09年に死亡した。

遺族らは男性の死亡について「発がん性物質のタールを含んだ蒸気を日常的に吸収したため」と指摘。
09年7月に北九州西労働基準監督署から労災認定を受けたといい、遺族側は「新日鉄はタールを含んだ蒸気の危険性を認識しながら、作業員への吸入防止の措置を怠った」と主張している」

新日鉄八幡のコークス工場の闘い

コークス工場の職業病の闘いは、1970年以前から行われていましたが、多くの公害運動がおこる中で「外に公害・内に職業病」を合言葉に、タールと職業がんの因果関係と会社の対応を資料として73年9月に八幡労基署に申告しました。

74年1月に、製鉄用のコークス工場に限って5年以上働いた労働者の肺がんはすべて労災と認めるとの労働省の結論が出されました。
離職した時点で「健康管理手帳」も支給され、年に2回の健康診断も実施されています。

遺族の訴え

ご遺族が、北九州労健連の会議に参加され、「これまでたくさんの方が、会社に対して声を上げず、人知れず亡くなっていったのではないか。
苦しんで亡くなった父の無念を思い、勇気を出して提訴に踏み切った。
相手は大企業で厳しい闘いになると思うが、負けられない闘いだと思っている。
たくさんの人の証言で勝利を呼び込みたい」と言っておられました。

訴状から

「従業員たるコークス炉工が肺ガン等で死亡し、これについて労災認定がなされた場合、弔慰金として約3400万円の弔慰金が支払われる制度が存在する。
しかしその制度は、労災による死亡時点で退職していた本人については、会社から何らの金銭給付もなされていない。
タールによる肺がんは暴露から長期間経過後に発症する事が多いことが一般で木に指摘されている」と指摘しています。
この闘いに、たくさんの関係者が参加されるよう、呼びかけていきましょう。

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